#1‐3「失敗したっていい」でとことんチャレンジ_リノベーション編(リノベる。スタッフの家づくり)
「リノベる。スタッフの家づくり」とは、中古マンション購入+リノベーションのワンストップリノベーションサービス「リノベる。」のスタッフの自邸づくりを紹介する連載企画です。いつもはお客様に提案する立場のリノベのプロが、どのように物件探しやリノベーションを行なったのか、ユーザーとしての迷いや悩みなどのリアルボイスとプロならではのノウハウや工夫を紹介していきます!
前回に続く、設計デザイナーの平尾さんの自邸紹介の最終回。設計デザイナーとして平尾さんがこだわり抜いた部屋に迫ります。
(文:村崎恭子)
after 間取り図
将来的には2LDKを想定
元の物件を一度スケルトン状態にして1LDKに。玄関からすぐの寝室と水まわりを除いてはワンルームのように使っているのが、大きな特徴です。
中でも面白いのがLDKのゾーニング。リビングスペースは床を15cmほど下げ、天井を高くすることで、寛ぎやすい空間にしました。その横には置き型のオリジナルの小上がりを設置。今は子どもがのびのびと遊べる畳スペースとして使っていますが、将来的には壁を足して、子ども部屋にすることを想定しています。
居心地のいい要素で実験のように
素材やデザインを選ぶ基準としたのは、平尾さん夫婦にとって“居心地の良いもの”でした。具体的には、無機質な空間を目指し、白やコンクリートのグレー、白基調の木材、ステンレスや鉄などを採用しました
また、最も丁寧に扱った要素は照明でした。
それでは、リノベーションを行う方にとっても参考になる箇所をご紹介していきましょう。
1. LDKの床材
ダイニング部分はプレーリーホームズのオーク材の無垢フローリング「オークV3」を選びました。巾が60mm・90mm・120mmの3種類で、「ユニタイプ」という長さもバラバラな床材を選び、ランダム感により表情のある床にしました。天井のコンクリートの荒々しい無秩序な様子に合わせています。また、無塗装のフローリングを貼ったあとに、木の風合いを活かしながら撥水性もある塗料としてドイツの自然塗料メーカーであるオスモのフロアクリアー3062(透明艶消し)をDIYで塗装したそうです。
キッチンは給排水管が床下にあるため高さを下げられませんが、ソファのあるリビングエリアの床は居心地を優先し、天井までの高さ確保を優先して下げることを選択。一段下がったリビングの床は、フローリングや家具などを制作しているティンバークルーにオーダーした合板フローリング。フローリング表面の突板の素材や、オリジナルで調色したグレイッシュなオイル塗料、サイズを指定。色と段差の違いで、ラグを敷かずとも空間を切り替えられているのが特徴。段差部分には間接照明もいれました。
2. 壁や天井のコントラスト
コンクリートを剥き出しにしたのは壁の上部と天井だけ。目線の高さより少し上まで白く塗ったシナ合板で壁を作り、やさしい質感にしました。その境目には間接照明を仕込み、天井のコンクリート躯体の表情を強調しています。
また、寝室は天井のコンクリート躯体に薄く白塗装を塗ったり、壁には布製の壁紙を貼り、全体的にやわらかい印象にすることでリラックスしやすい空間に仕上げています。
3. 水まわりの清掃性
奥さんの譲れないポイント、「清掃性」を最大限に叶えたのがトイレと洗面脱衣室です。
床は全て手入れがしやすい素材へ。壁のタイルには清掃性を優先し目地を入れず、洗面台横に使ったのは水や汚れに強いキッチンパネル。汚れにくくするための工夫をこれでもかというほど取り入れました。
まるで浮いているかのようなデザインのトイレは後ろの壁にタンクがしこまれ、床から浮かせた状態で壁付けされています。「タンクレスは人気だけど、災害時はタンクの方がいい。でも、掃除のしやすさも捨てられないのでこの選択でした」と、目の付け所がさすがです。
4. 廊下のアッパーライト
最もこだわったという照明計画の中でも、廊下に入れたアッパーライトは、一般的な家庭ではほとんど使われていません。アッパーライトとは、下から上方向に光を照らすことで誘導効果を高めたり、印象的な空間をつくることができます。
これは平尾さんが昔からやりたかったことの一つ。照明計画を頼んだ大学時代の同期に相談し、店舗用の小さなライトを使いました。3つの配置にもこだわり、夜に玄関を開けると、幻想的な雰囲気に。
5. 寝室の収納スペース
寝室のベッド下に作った大きな収納スペースは、平尾さんの1番のお気に入り。この奥にはマットレスやスーツケースなどを収納しているそう。スペースは左右に仕切られていて、左側は玄関へとつながっています。
仕事でお客様に伝えていたことが現実に
視界に入るものを緻密に計算することで、落ち着いた空間を見事に実現させた平尾さん邸。インテリアも、以前から使っていたソファやテーブルを引き続き使いながら、本当に欲しいと思えるものを厳選して買い足したそうです。そんな話を聞くと、「無駄がない」という印象がますます強まります。
この家に住み始めて、平尾さんの暮らしはどう変わったのでしょうか。
「サクラダファミリアみたいに」とも話していた平尾さん。今後、家族のライフスタイルが変わっていくたびにこの家がどんな変貌を遂げていくのか、楽しみです。
staff profile
平尾幸司
「リノべる。mine」の設計デザイナーとして、すでに物件を所有しているお客様向けに、リノベーションの設計〜施工まで一貫したサービスを行なっている。前職では約10年にわたり自社施工のマンションのお客様に対しリフォームの提案・設計を担当していた。
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