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(前編)「中古マンションは管理を見よう」ってどういうこと?マンション管理を研究する横浜市立大学教授の齊藤広子さんに聞いてみた

連載企画「リノベを科学する」第5回のゲストは、横浜市立大学国際教養学部教授・齊藤広子さん。今回は「マンション管理」についてお話を伺いました。中古マンションを買う際に、よく「管理を買え!」と言われますが、実際に“いい管理”を見極めるには?住んでからはどう関わればいいのか?ビギナー研究員・田形と、中堅研究員・千葉が伺いました。(前編)
(取材:リノベる。スタッフ/田形研究員、千葉研究員、文:村崎恭子)

千葉:ついに「リノベを科学する」も第5回目を迎えました!

田形:今日のゲストは、横浜国立大学国際教養学部の教授で、マンション管理の研究をされている齊藤広子先生です!

千葉:緊急事態宣言が出てしまったので、オンラインでのインタビューです。

田形:本日は、中古マンションを検討する際に大事な「マンション管理」がテーマです。どうぞよろしくお願いします!

齊藤:よろしくお願いします〜。実はうちの学生がリノベるさんにすごく憧れていてね。だから、今日を楽しみにしてたんですよ〜!

千葉:ええ!それは嬉しいですね…ありがとうございます!!

田形:実は私たち、この企画で中古マンションに関してさまざまなテーマで専門家の方々にインタビューしてきたんですが、建物の寿命や耐震性についてお話を伺う中で、みなさん口を揃えて「管理が大事だ」とおっしゃるんです。それで今回、齊藤先生にその関連性について詳しくお聞きしたいと考えているんです。

齊藤:ええもう、なんでも答えますよ〜!

二人

リノベビギナー:田形 研究員、元リノベデザイナー:千葉 研究員

千葉:ありがとうございます(笑)では早速、よろしくお願いします!

1.マンションの状態を知ることは、なぜ大切なの??

田形:まず、先生はどういうきっかけでマンション管理について研究をはじめられたのでしょう?

齊藤:私はそもそも、マンションをつくる会社に勤めていました。そこで、マンションの将来はどうなるのかな、、と思い、会社を辞め、大学院で研究を始めるようになりました。特に、中古住宅の流通時の管理のことに関心を持ったのは、20年前に築20年の中古マンションを買ってリフォームして住もうとしたときに、大変な思いをいっぱいしたので、世界中の中古住宅取引の制度についても研究を始めたんです。

田形:そんなご経験がきっかけだったんですね…!先生は、国土交通省の住宅履歴などの情報蓄積や活用のための制度「いえかるて」づくりにも関わられていましたよね。

齊藤:「いえかるて」とは、簡単に言えば、いいものをつくって、きちんと手入れして、長く大切に使うために、戸建てやマンションが生まれた状態と、その後どういう風に点検や修繕をしてきたかの記録と、それを蓄積・活用する仕組みです。

いえかるて_パンフレット

「いえかるて」パンフレットより

田形:なぜ、そういった情報が必要なのでしょうか?

齊藤:例えば、旧耐震基準で築50年近くなるマンションって建て替えの話題が出てくることもあるんですが、中古で買って1千万かけてリノベーションした人からすると、すぐに建て替えするなんて困りますよね。逆に、最初から入居していた60〜70代の人たちは、あと10年経ったらもう建て替えに参加できないかもしれない。私も「建て替えを今したいんだ」「今されたら困る」と激論しているところへお邪魔することがあります。

千葉:どちらの気持ちもわかる分、その状況は切ないですね…。

齊藤:なぜこんなことになるのかというと、中古マンションを買う時に管理状態をしっかり見ていなかったから、ということなんですよ。
なので、マンションを買われる時に自分のおうち部分だけじゃなくて、マンション全体の共用部分、そしてそれがどう維持管理してきたのかっていうことをしっかり見ていただきたいんですね。家の中のものは自分の意志で決定できるけど、マンションの建物全体のことはそういうわけにはいかないので、修繕計画や修繕履歴、そして将来の計画などを購入前にしっかり見ることによって、こういう問題は予防できることがあります

田形:前にお話を伺った先生方も、物件を検討する時に、過去の修繕工事の記録や修繕積立金の残高はしっかりみておいた方が良いとおっしゃっていました。しっかり修繕計画を立て実行しているマンションは、建物自体を大事にしている、と。

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齊藤:最近、実はエリアによっては好立地であっても空き家率が高くなってきているんです。管理組合がいかに頑張っているかによって、空き家率、つまり人気が違うので、築年数が経つほど管理組合の主体性が必要だとわかってきました。リノベるさんも、しっかり管理をしている物件を積極的に扱っていただかないと、入居したら1人だけ建て替え反対派になっているかもしれないですよ!

千葉:そこは僕らも意識しています!!お客様には最初から「一緒に、管理状態をしっかり見ていきましょう」っていう話をしています。

齊藤:今後どうしていく予定があるかも重要ですよね、5年や10年ぐらいで建て替えするのなら、その1千万は5年や10年で消費されてしまうっていうことなので。

2.「マンション管理」って何をしているの?

田形:初めてお家を買われる方にとって、「管理」って理解しづらいいと思うんです。マンションの管理って具体的にはどんなものが含まれるのでしょう?

齊藤:大きく分けて3つの側面があると思っています。

一つは、「維持管理の側面」。屋上や外壁、エレベーター、廊下など、いわゆる「共用部分」を適正に修繕あるいは点検をします。これは一番わかりやすいと思いますね。二つ目は、「生活管理の側面」。お互いが安心安全に暮らすための活動ですね。

田形:と、いいますと?

齊藤:例えば、マンション建物全体の暮らし方のルールを決めていくこと。ペットの飼育にや騒音マナーですね。トラブルをなくすために生活に関わるルールを作り、守ってもらえるように普及啓発していくんです。

田形01

田形:なるほど、ルールを作るだけでなく、守ってもらうことが大事ですよね。

齊藤:その延長線上に災害対策もあるんです。普段からコミュニティのイベントをしていてお互いをよく知っていれば、いざという時に「山田さんの奥さんお腹大きいから助けたげな」「田中さんのおじいちゃん足悪いから救いに行かな」ってなりますよね。

千葉01

千葉:なるほど、マンションって結局、人間のコミュニティですもんね~。

齊藤:そして3つ目が、「維持管理の側面」と「生活管理の側面」の両方を束ねて、このマンションをいかに経営していくか、という「マネージメント・運営管理の側面」。そのために必要なお金である管理費・修繕積立金を集めること、集会を開いて合意をとり、管理を実行すること、きまったことはちゃんと紙に書いて規約等にしておくことになります

田形:なるほど、3つの側面、とてもわかりやすいです!では、実際に中古マンションを検討する際に、どの部分を見たら管理の質がわかるのでしょうか?

齊藤:マンションを見に行かれたら、みなさんの感覚でなんとなくわかるところも沢山あるとおもいますよ!自転車置き場が整然としているとか、清掃がちゃんとされているとか、見た目に建物のサビや劣化がないとか。それから、ベランダ側も見てみたらいいですよ。もしベランダを囲っているような住戸があったら、これは二方向避難の一方を塞いでしまう法律違反ですから。そういうものを見逃している管理組合は、コントロール力がないから危ないですよね。

田形:なるほど…!素人目に見ても管理の良し悪しって判断できるものなんですね。

齊藤:実は誰もが見てわかるものっていうのが、目に見えない管理の質の代表選手みたいなものなんですよ。

後半はこちら▼▼

*今回のゲストプロフィール

齊藤広子(さいとうひろこ)さん

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横浜市立大学国際教養学部教授。
筑波大学第3学群社会工学類都市計画専攻卒業、不動産会社勤務を経て、大阪市立大学大学院生活科学研究科修了。博士(工学)・博士(学術)・博士(不動産学)。岐阜女子大学家政学部住居学科助教授、明海大学不動産学部教授、英国ケンブリッジ大学客員研究員を経て、2015年4月より現職。専門は不動産学、不動産マネジメント論。魅力的なすまいやまちのマネジメント手法確立の研究と実践。


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